「原理主義的ママチャリ」のチェーン交換するなら。
いわゆる「婦人用軽快車」と呼ばれる、王道ママチャリの場合。タイヤの規格が27インチ(27x1-3/8)だとか26インチ(26x1-3/8)だとかそんなところで「ママチャリ」と通称されるこの界隈だけど、マジモンのママチャリは確かにこの軽快車といわれる買い物シティサイクル。基本的にこの手のタイプは整備前提じゃないので手が入れにくい。とても。(プロの自転車整備士ならお手のものだけど。プロを舐めちゃいけません。)
チェーンカバーがフルガードで備わっているヤツ。
※チェーンの全体がカバーで覆われている自転車(全ケースのチェーンとも)
だから厄介
結論として、
チェーン交換は出来るが、
少々お高価いコツがある。
関連記事・「チェーン交換(基本編)」
参考・「自転車のチェーンを調整しよう!たるみの直し方とメンテナンスを実践したよ。」ハンバート友幸 さま
使うアイテム一覧(チェーンや工具)
チェーン
一般ママチャリ用品
シマノ純正品・「SHIMANO(シマノ) CN-NX10 114L シングルスピード対応 1/2X1/8 ICNNX10C114I」
長さ「114リンク」
(予備)チェーンロック(チェーンジョイント?)
※これら予備アイテムは無くても良い。チェーンに必要分が付属するから。ただ予備にあると頼もしいということで。
「変速なし(1速)」×「内装3速」用。
けど「そっくりそのままハマる」ということはない。サイズ調整は必要だろう。(そもそも114リンクという長さは、例えば27インチママチャリにピッタリ合う長さでもない模様。確認した限り。)
とにかくこういった1速チェーンを使います
使う工具
特殊工具
「チェーン切り」こそは必須アイテム。
中でも信頼しているこのアイテム。(他のは脆くてすぐ壊れたので)
スパナレンチ系統
ベストな1本なら15ミリのコンビレンチがあればOK・「SK11 コンビネーションレンチ 15mm SMS-15」
後輪周りのナット類を回すのに使用。
本来ならシッカリとパワーの入るラチェットレンチやらメガネレンチやらというブツを揃えるのがプロの仕事だけど、まあそんなに工具揃えてもね。万能品で上手いことやるのがコスパ高し。
※ただしその分「しっかりと」締めて事故にならないようにしよう
新しく買うならば「15ミリのコンビレンチ」
優秀プラスドライバー
超絶使いやすい。
握りやすくてパワー入るし、先端が磁石性質なのでネジも吸い付くから失くしにくい。
ナットドライバー
対チェーン引き用の専用工具(?)10ミリである。
チェーン引き以外の用途にも使えるスグレモノ。後輪ブレーキのナットも回せる。モンキーレンチでも代用できるけどコレは特にベンリなので揃えてみた。
ベンリアイテム
細い棒的なやつ
箸的なモノでも良いけれど。割り箸じゃダメかな。細くないと。※ちなみにヤスリである必要性はまったくない。キリとかでもOK。細い精密プラスドライバーとか。
挟めるもの(プライヤー的な)
チェーンロックを外すのにベンリ。
無くても良いけどこの工具はいろいろ万能で使える。
スーパーサブ
あるとベンリ。
全部揃えるとたしかに少々お高価いおすすめ品
しかしこれだけ揃えてくれれば、
覆われしチェーンの交換はとても可能。
(絶対ではないけど)
断言はしないスタイル
フルガードタイプの自転車チェーン交換方法
基本は3工程
「チェーンを外す」編
ここが最も大事な工程であり、他のチャリとの違い
出せるところは出す!(外フタを開ける)
外蓋は開けちゃう。
フルフェイス型(?)のチェーンカバーと言えど、「オイル挿しなどの整備」くらいは簡単にできるようになっているから。
クランク側のフタ(前ギア)
後輪側のフタ(後ギア)
下準備はOK。
チェーンを弛ませる!(が?)
このままでは外れないことが多い。
「ここまでチェーンが露出すればなんとか外せはしまいか」と、そう思われることでしょう。だがしかしハズれないこと山のごとしなのであります。意外と。
が!?
以下、要チェック項目!
たしかに「古びたチェーンならば弛んでるのでこのまま上手いことガチャガチャとやれば外れる」場合もある。
むしろチェーン交換とはそういった赤錆丸出しの化石チェーンを新調するパターンが多いのでスタンダードな形式のように思うけど、コレまた意外や意外にそこまで弛んでいなかったりもするのである。この自転車は整備用に購入した新品自転車だが、このまえ伯母さんの家の買い物ママチャリ(15年もの)に手を入れたら「錆びついてはいるけれどハズれない」という状況もあったしね。
外れそうならすっ飛ばして次へGO!(はずしかた)
フタ開けてもうこんな「チェーンの接続部」が出ているなら、「そのまま外せばOK」かもしれない。
というのもママチャリ用の1速チェーン(KMC製?)には、お手軽な着脱を可能とするチェーンロック的なリンクが存在する。(ロックプレート?チェーンジョイント?)つまりこの箇所を外してしまえば良いのだ。
(ピンを抜く手法だと工具の形状のため場所が取れないこの状態からでも、プレートのロックを解除するだけだから可能ではないかというお話なのである)
というかなぜ自分でやらなかったのかフシギだけどまずはチャレンジしてみてほしい。
この時点でチェーンが外れたなら「交換編」にすっ飛ばしていきましょう
以上、
2つの注意点においてうまくいかなかった場合もあるだろう。
それならばやはり「チェーンを緩ませる」のである。
【その1】車輪軸の固定具をユルめる!
※すべて「緩ませるだけ」で外さなくていい
詳しくはこちらさまを参考に①・「チェーンの張り調整」TAKA研究所さま
詳しくはこちらさまを参考に②・「自転車のチェーンを調整しよう!たるみの直し方とメンテナンスを実践したよ。」ハンバート友幸 さま
まずはこうして車輪を固定しているナット等を緩める(ブレーキ類も)
【その2】チェーン引きをひねる
これにてチェーンを緩ませる事が可能。
※車輪が動く状態でないとチェーン引きは動作しない
さらに車輪を動かしてもOK!
こんな感じに、
前に詰めるように車輪を動かすとチェーンが緩む。
タイヤごと前に押せばいいね
あとは上手いこと外す!
緩んでおります。
とにかく脱線させていく
そして車輪をすこーし回してやれば後ろギアは完全に外れる。
あとは流れに身を任せて落ちぶれよう
フルカバー攻略の半分はこれで完了。
「チェーン交換」編
いろいろパターンがあるからできるだけ試したよ
チェーンを切る!(もしくは外す)
実はいくつかの方法がある。
術式的な。
【その1】チェーンロック(チェーンジョイント)を外す
普通のママチャリならこれが付いていると思われる。
その名も「チェーンロック」なのか「ロックプレート」なのか「チェーンジョイント」なのか「マスターリンク」なのか判然としないけれど、要は「この箇所を付け嵌めすればOK」というチェーンの急所。
これが一つ目の外し方(王道)
【その2】チェーンを切る(ピンを抜く)
最も万能なチェーン切り法。
とにかく「チェーン交換するならこれ」という工程。結局の所はコイツでもって「切って繋げれば世は事もなし」というシンプルさ。
※このやり方では「チェーンを切るスペースがちゃんと確保できないが為に、まっすぐ打ち抜けていない」という問題が起きている。だがそれは承知。つまり「外すだけなので構わない」ということです。
これが万能な外し方(覇道)
なんにせよ外した化石チェーンを使わない予定ならば、
切れれば何でも善い。
新品チェーンの用意(サイズ調整)!
結局、「長さ調整」が必要。
たとえKMCの「1速用ママチャリチェーン」を買ってこようとも、長さ調整が必要なのである。(あれは114リンクとのことで、6速~8速用とされるシマノHGチェーンの116リンクとも2リンクしか違いないほど。しかして、一目瞭然のように27インチ自転車に付いていたチェーンは明らかに短い。その差は10リンク以上ある。)
そしてこの工程は「26インチ自転車だろうが子供用の24インチ車だろうがミニベロサイズな20インチ車だろうが必要になる」ので大事な調整だね(外装6段ならいらないけど)
「元のチェーンと同じところ」でカットしよう!
つまり何のこともなく、
「元のチェーンと同じ長さに調整する」
だけ。
結局ダメだった。踏み込むとチェーンがダレてしまってまともに漕げない。
たった1リンクなので、上手いことチェーン引きや車輪位置を引っ張って伸ばせないかと試行してみたがダメ。というか半分外れる。(スタンド立てて漕いでるときは回るのに)もしも1リンク余計に付けられていれば色々とその他の作業に余裕が生まれるんで試してみたけどやっぱりダメでしたわ。自分が試した限りでは。
よって「もとの長さと同じにする」という原則は守っていきましょう。
26インチとか子供用の24インチや折りたたみ規格の20インチなどでも同じことなので、
なんにせよ「新品チェーンの長さ調整は必須」かと思われます。
これが外装変速機(6速とか)であれば必要ないんだけど(チェーンテンショナー機能で自動調整するから)
チェーンを上手いこと通す!
そして新品チェーンを装着していく。
この作業も少々厄介で、フルカバーの中を上手いこと通して行く必要がある。うまいことね。テクニシャンメカニック顔にて。ただしコツがあるのでその通りにやればスムーズにいく。
【コツ1】後輪側からスルスルとボトムラインを這わせていく!
さあここからが大事!
【コツ2】持ちあげて、落としていく
持ち上げちゃう。
つまり「上のラインからは、重力で落として、通す」ということ。そういった渾身のヨイショ芸にてやっていきます。(だから持ち上げたときに下のチェーンが落ちていかない様にしておきたい)
※以下、持ち上げ途中の手元イメージ
ちゃんと手元側にチェーンを持っていないと下から落ちていくので重量バランスに気をつけよう。
ご開通おめでとうござりました。
m(_ _)m
こんな感じでおねがいします
さああとは繋げるだけ。
チェーンを繋ぐ!
もちろん繋ぎ方もいくつかある。
チェーンロック(チェーンジョイント)を繋ぐ
フルカバーママチャリのキホン。
HGチェーン(6速~8速など対応のスポーツ用チェーン)には無い仕組みだけど、1速用のママチャリチェーンを使うなら可能な方法。コツは上の動画の通り「挟み込むように上から圧力をかければロックがカチッとハマる。」というわけでございます。
1速チェーン使うときの王道
ピンで繋ぐ(?)
基本といえば基本だけどそんなにおすすめしないピン入れ法。
スポーツチャリ用のチェーン関連では基本スタイルであるピンの出し入れ。だけどこういったフルフェイス(?)のチェーンカバーがあるやっかいな軽快車ママチャリにはそんなに向いていないのではなかろうか。(というかやらない?長さ調整分だけ?)
フルカバーママチャリにはそんなに向いていないのでは?(復唱)というか使わないのでは?(恐怖)
ピン入れ工具の活動スペースが取れないから。
1リンク多くした長めの状態でも、いろいろと角度が足りないのである。チェーンをどれだけ引っ張って工具を縦横無尽に回転させても斜めになってしまう。
これで打ち込むとマトモな状態にならない。
まあ使えなくはないのかも。
実際この出っ張り自体が問題ということはなかったし。どこかに当たるとか、異音がするとか、チェーンが外れるとかいうことではなかったが。なんかおかしいじゃん。なんか。
※小回りの効く小さいチェーン切りでも買えばいいかも。脆そうだけど。
以下、「ピンの入れ方の基本」をおさらい。
※普通の方法ならこんな感じの入り方かと。入れすぎるとチェーンの動きが固く渋くなって脱線しやすくなるから気をつける。つまり「ピンを押し込みすぎない」というのがコツ。押し込み切る前に早め早めから「動きがスムーズかどうかを確認」していき、優しく挿入しよう!
ピンを押し込みすぎないように遂行できれば万能な覇道(でも実際は使わんでしょうな)
まあまあそんなこんなでね、
それぞれの趣味趣向に合わせた繋ぎプレイをお楽しみください。
チェーンを嵌める!
もうあとはラクチン。
※ただギアの回転に手を挟まれないようにだけ注意しよう。そこそこ回していくからね。ゆーっくりそーっと丁寧にカラカラと回していこう。手袋ハメたほうが安全ですよ。
そんな具合に上手いことやっていればハマります。
こんな感じに後ろと前からテクニシャン気味に責め立てていけばダイジョーブ。
自分の上手さを信じるんだ
「事後処理」編
あとは元に戻していくだけ。
チェーンの張り具合を最終調整!
「チェーン引き」を軽く締めておく!
「時計回し(右回し)」で張るから。
※左右とも適度にやっておこう。同じ程度に。
適度に締めて、チェーンの張り具合が良さそうなら次へ
ごちゃごちゃした後輪周りの位置調整をしよう!
タイヤの位置調整
兎にも角にも、
「後輪タイヤの位置」が大事。
後ろに「グッ」と引き、
中央に「ガッ」と寄せ、
スタンドを前に!
スタンドを「ザッ」と前に出す感じで。
よろしくおねがいします
さあさあ
その「仮定状態」を維持しながらいきましょう!
ナットを締めて最終固定!
タイヤの位置をちゃんと仮定したまま、
ナットを「グいーーん」と締め回して
このふざけた仕事を終わらせよう。
よろしくおねがいします
※ブレーキ類も締めるのだが、ちょっとコツ
これで大体はOK。
あとは最後の仕上げじゃい!
ハズした外フタを閉じる
前ギア側(クランク)
簡単そうで実はちょっとした問題だったり。
こうすればクランクカバーの戸締まりはラク。
後ろギア側
後ろギアカバーは簡単だが少しだけコツがいるかも。
ハイ
ガードの固い奥さんママチャリのチェーン交換、
完遂。
思ったより壮大なビッグコンテンツになりました