ニートアカデミア(哲学) 無職長征一万光年旅記

レイプ現場に遭遇した無職ひきこもりニートの対応その1

2016年12月29日

dark-1720324_1280

 

結論から言えば「助けることができなかった。」になる。

 

自分のなかで「正義」は完全に消え去ったのを知った。

 

まあそんなに重たいお話をするつもりはないから安心してほしい。

ただの反省会記事みたいなものでね。

ということで最近サイクリング中にそんな現場に遭遇した話をしたい。

さらに結論から言えばこの話に「被害者はいなかった」様子。

つまりそれは「違った」わけなのである。

レイプ事件ではなかったのだね。

 

ただ、

 

「これ以上もない」というくらいのシミュレーションを体験したという話なのだ。

 

自分の中ではほぼそれは実在したのだから。

 

 

私たちが教えているのは“クリティカルシンキング”、すなわち、

行動を麻痺させてしまう分別のない最悪のシナリオと、現実的にあり得るシナリオとを区別する思考スキルである。

これは計画と行動とを可能にする思考スキルである。

マーティン・セリグマン

 

 

ただ、めっちゃびっくりする。

 

最初、ネコが鳴いてるのだと思った。

 

よく縄張り争いでネコは張り合って唸り声をあげる。近所にネコが居るか飼っていれば分かるだろうけれど、まあそんな風に「夜中に騒いで喧嘩してるんだなあ」なんて可愛く思っていたのだ。まあ実際は結構うるさいから居住区でやられたら煩わしい音なんだけどさ。

 

深夜3時半ごろにサイクリングに出て大通りのスーパー前を通った時だったわけ。

 

ネコがどんな風に仕合っているのか横目で観戦しようかなと探すと、

 

そこには黒いワンボックスカーが止まっているだけ。

そして少し高めで伸ばし気味の唸り声。

半分開けられた助手席と、多分そこに立っているであろう人間。

 

このシチュエーションである。

 

瞬間、

 

ちょうびっくりする。

 

自分で思っている20倍位はびっくりするからこれ。

どう判断するかは人それぞれあるかもしれない。

オレもここで黒いワンボックスカーじゃなければ「何かの喧嘩?」

あるいは、「産気づいた?」

みたいな可能性の方を先に考えたろうけれど、いや先には考えたんだけど、

とっさに「これは強姦じゃないのもしや?」となる。

なんといっても黒いワンボックスカーである。

 

そうなるともう超びっくりする。

 

何度も言うけど、特に普段ひきこもりで他との接触がほぼない状態からするとさらに飛躍的にびっくりする。そういう現象が目の前で起きたのか?というビックリ。そして今オレに何かの判断権や決定権があるのか?というドキドキ感。たしかに色々と事件があるのは知ってるし、情報としてはよく見るけど、

 

実際に起きるとまずフリーズ。

 

そしてこうだ。

 

うわめんどくせ。

 

否定要因を探す。

そうなるとまずはこれが「現実じゃない」という「自分にとって都合のいい要因」からまず探す。逆に考えればお手柄なのだが、まずは否定から入るみたい。若者の意見を握りつぶす枯れたおっさんみたいに。しかし現状おかしな点がいくつもあるのだ。

現在絶賛営業中の24時間スーパーの駐車場であること。

これが段違いにおかしい。人目につく場所だ。事実ほかの車両もあったので買い物客はまだいる。

しかしそれが盲点かもしれない。

深夜3時半ともいえば買い物客が居るとて少ないし、人種の傾向は完全に非活動的。他に無関心すぎて何の行動も起こさないという点につけこんだワザなのかという点は考慮された。

 

買い物客もいるし、店もやってるし、何より防犯カメラもあるじゃん。

こんな状況でやるか?という話である。方や日常風景があり、片や非日常風景に挟まれたオレの主観風景は異様だった。

しかししかしそれが盲点かもしれない。

だからこそあえてやるのかもしれないとは思えた。軍事上ではむしろあり得るしね。「素早く隠してやってしまえば実は」とは考えられるし。

 

ただし否定の要因もそれなりに正当なもので、

まだつい30分前まで物語シリーズのアニメを鑑賞していた「日常出身」のオレとしてはやはり日常のなかで考えたいのかもしれない。

どの理由もそれなりに正当なのだが、

 

対象が「黒いワンボックスカーである」という事実にどうしても抗えないのである。

 

黒いワンボックスカーなんてそりゃ犯罪を犯すもんである。そりゃ最大級にキケンな要因なんである。

 

何故立ち去らないのか。

そもそもこれ、「車に入れたら山まで連れて行く」ほうが自然だ。ここは山の国である。いっくらでもある。

人気のない路上だとこの時間のパトカー巡回等に捕まる恐れもあるから、「車があってもおかしくない場所」としてここを選んだのかもしれないが。

いやいやそもそも山のあたりまでさらってしまえば出来てしまうじゃないか。

ここは山の国である。

こんなにイメージの悪い山の国の使い方もないもんである。

 

誰も気にしてないようだし、行っちゃうか。

多元的無知 - 他者が積極的に行動しないことによって、事態は緊急性を要しないと考える
責任分散 - 他者と同調することで責任や非難が分散されると考える
評価懸念 - 行動を起こした時、その結果に対して周囲からのネガティブな評価を恐れる

「傍観者効果」Wiki

なんて思ったりもしたんだ。恐ろしいことに。思っちゃうんだよこれが。あまりに他の車が普通に入ってきて、買い物に入っていくもんだから。

 

というか判断としてはもう「多分違うんだろうなあ」という判断が働いていた。

 

しかし、

と言うか

「ただのキチガイ犯だったら後先考えないでやっとるかもしれん」

わけである。

どれだけ御託を並べてもその可能性は否定できない。

これは決定打なのだ。

 

お祭りで舞い上がってる区別のつかねえノータリンのゴミ軍団が面白半分でやっちまってるという状況だってあるだろう。

 

いや、

 

「でもやっぱり違うんじゃあ?」

「産気づいて救急車を呼んでいる最中じゃあ?」

「酔っ払いが騒いでるんじゃあ?」

「痴話喧嘩じゃあ?」

 

ほんとに状況なんてわかったもんじゃない。

深夜3時半の暗いなか。

確証なんてない。

 

それが闘志をサビがついたみたいに鈍らせるんだ。

 

こんな状況に遭遇してビビったのも事実。

怖じ気ついたのか?何に?誰に?人に?状況に?自分への被害に?それとも「この大きな傷口とぐちゃぐちゃの事故傷をみることができない」という医者をやめた人みたいに?

とにかくなんだかビビる。

 

そしてこうだ。

 

うわめんどくせ。

 

でも一応通報しておくか。

とはなった。

道路一本挟んだ歩道寄りの自転車道からハンドル切って、

「行きますか…」という形となったオレの道徳精神の芳しさたるや如何程のものか。

あのね、何でここで起きるかねと。起きてたとしたらだけど。もういいよと。どれだけの事件がこの世界でおきとんねんと。どうしようもないじゃんと。

オレは漫画の中でも強姦シーンは見たくないから。

苛つくだけだから。何も出来ないし。ホントに嫌いな犯罪だ。殺人より重い罪だろう。痴漢はいいけど強姦は無理。いや痴漢もダメだけど。強姦は生理的に無理。嫌悪しかないわ。

それでもこんなもんなんだよ実際。

なんでかビビってるのか、状況判断がよくわからないからなのか、何なのかはしらんけど全然テンションが上がらへん。

 

もうとにかくめんどくさい。

 

もう何の役にも立たない行為だからこれはきっと。だって違うんだからさ。通報とかしてもどうせ違うんだよね。

前もあったけど違ったもん。

ガキの喧嘩だったけど。「別にガキが喧嘩して怪我しようがもうどうでもいいから」つっても想像力豊かな俺は「ひどい怪我になるかもしれんし一応警察でも呼んどいたるか」ってケータイ持ってないから民家を夜の11時に髭面で訪ねてなんとか110番して呼んでもらったわけだ。でも別に大したことじゃなかったみたいだし。

 

でもまた大きな叫び声がするんだよ。

 

なんていうの?

「ウーーーーーーー!!!!!!ウーーーーーーー!!!!!」

っていう声?

やっぱり猫の喧嘩の声に似ている声。

抑えられて抵抗している声に聞こえてきた声。

黒いワンボックスカーから聞こえてんだもんね(多分)。

しかも1人半ドアから立っているし。

見張りにしか見えてこない。

 

この状況でも別にテンションは上がらず。

 

どれだけこの世界に興味がなくなったのかと思ったよ。

正義感なんて持って「どこで誰がどうなろう」とか気にしてたらこっちの気がおかしくなっちゃうわけで。

もう「無関心を決め込んでやろうという人生」を生きていると、

「こんなことが起きてもこんなに冷静でいられるんだな」って思ったよ。

 

でもまあとりあえず通報。

 

戦略「最終的に勝ちにいく作戦」

 

「加害中ならあとは犯人を捕まえるかできるだけ証拠を確保することが勝利。」

 

人の奇態というのなら深夜飲食店の店番でそれなりに見たことがあるので余計に「やはり違うんでは」とはもうほとんど思ったけど、

「もし」、「もしもそうなら」

ということで一応通報することに。そもそも確証がなければ出来ないとなればかなり現状に沿っていない話になるから「別にいいだろう」ということでクリスマスが終わった日の朝っぱらから警察さんを道連れにすることにした。

「もしも」

で動ける人間にはなりたいオレです。

突発的には無理。

そんな瞬発力はオレにはない。

 

まず警察を呼んでおく。

これがコロンビアやリオの裏路地であったなら相手は銃を所持している確率は相当数高いのだ。まあここは日本だから銃の確率はかなり低いけど。

そもそもどれだけの人数かはよくわからない。黒いワンボックスカーである。中は見えない。深夜3時半である。GTAシリーズならロケットランチャーぶち込んで一網打尽のシチュエーションだ。やったことないゲームだけど。

まあどっちみち確保するには警察の警察グッズたちが必要だ。(警察署はすぐ近くに市の本部があるので2分くらいで来たのだけど)

 

「……緊急なんとかかんとかですどうされましたあ?」

 

オレは先の件からプリペイドケータイを所持して外に出るようになっていたからそのケータイで110番通報した。もう3ヶ月のチャージ期限は切れているが緊急系の電話だけはかけられるのだ。冬のサイクリングに備えて装備していたヒートテックのニット帽を半分外しながら耳に当てたので最初の方は聞き取れなかった。でもそんなのはどうでもいいからさっさとパトカーを出してもらえればよかったのでこういった。

所持していない人はこういった緊急時のために楽天モバイルの通話SIMカードを1600円で契約することをおすすめする

 

「◯◯(地名とスーパー名)わかりますか?そこで叫び声がするんですが」

 

やはりどこで何が起きたのかを端的に明確に伝えたい。スマホならグーグルマップなどを開いて今いる座標をタップでもすれば住所などが出てくる。自動販売機や電信柱や道路の標識にも掲載されていたりする。あるいは通行人に尋ねるだとか。判らなければ土地の状況などでもなんでも伝えられるものを伝えたい。

 

「はい。わかりました…」

食い気味で

「黒いワンボックスカーから聞こえるんですけど」

「女の人の声ですか?」

「はい。(実際それこそ微妙だけど最悪を想定して)

「高齢の方ですか?若い方ですか?」

 

たしかにいきなり発作を起こした病人という線もやっぱりあって、とりあえず「叫び声がするのは明らかに異常だし通報してもおかしくないだろうなあ」ということをこの時考えた。

 

というところでさっさとパトカーを呼んでほしいので

「パトカーを呼んでくれませんか」と言った。

すると

「今この通話は全部伝わっていてパトカーは現地に向かっていますから安心してください」

とのことだった。

まあそりゃそうかそれくらいのシステムは構築済みですわな。

それから電話越しでその警官さんは具体的な質問を一つ一つ訊いてきた。

 

「2つ駐車場があるがどっちか?」「店の前の駐車場」

「いま自分は現場を離れたのか?」「離れてない」

「ナンバーは分かるか?」「暗くてこっからでは見えない」

 

などなどこっちは答えるだけでいいので無理に何かを言おうとする必要もなくて比較的楽だったのを覚えている。吃音だし。電話とか最大級に苦手だし。

たしかに状況を正確に伝えられれば、現地到着するポリスメンたちが最適な戦術が採れるのだろう。24でやってたよなって。

あとは通報者の心理負担を軽減させるために簡単な受け答えスタイルであったのかもしれないね。

 

とにかくこれで警察という国家権力の手配は整った。

 

まあお店の人に声をかけて総出で取り囲むなどもあり得ただろうけど、どうにも「まあ違うんじゃない」という状況なわけだからなんともかんともなのである。あくまで「一応」という行動範疇。そういう中途半端なテンションが戦意と判断を鈍らせていく。

 

あとはもうやることがない。

 

とにかく冷徹なほど冷静でオレの脳みそはキンキンに冷え切っていた。

 

「すでに犯罪は実行されているなら止める必要があるのか?」

という「考え」で、もう実行されているなら「このあと」の戦い、すなわち「法」による戦いが重要だろうと考えていた。

「これから大事なことは法的に処罰の場に引き出して被害者に戦うチャンスを持ってもらう事」

強姦の殆どは申告されずに消えていくという。親告罪だし、そもそも人気のない場所で行われるから目撃者はなく、被害者による申告と供述だけが頼りということは知識としては知っていたからだ。

それが最終的な勝利への戦略で、今取るべき選択。

そこに被害者がひとりのかよわい女性であり、多勢に無勢で侮辱され続けているという事態は考慮されなかった。

 

とにかく冷徹なほど冷静でオレの脳みそと体はキンキンに冷え切っていた。

 

突撃して逃したらどうなるのか?

黒いワンボックスカーのこと。

オレが出ていって蹴散らされ、

逃げられたらどうなるのか。

 

被害者を連れたまま自暴自棄になって逃走した場合被害者はどうなるのか?

あるいはそのまま被害者を放り出して逃走した場合なら追跡は可能なのか?

 

その判断はつかなかった。

この判断が正当か効果的かは別として、少なくとも当時の自分には正当で効果的に思えたし、今でも思う。

というか、誰かに気づかれた時点で逃走するようならこんなところで犯罪などしないのだろうが。

そう考えると何も考えていないキチガイ犯か、

よほど周到な言い訳の理由でもある手慣れた奴らなのか。

 

そうなるといよいよ動けない。

自転車に乗った二人の男性が、暗闇の中で動いていない私に気づいて、あなたにタックルしなければならなかった。

「1700万人が読んだレイプ被害女性の手記全文「あなたも、闘うのをやめないでください」」BuzzFeed

なんとも不思議な話である。

普通は突撃してやめさせるというシチュエーションだ。

だがなんとも手が出づらい状況になってしまった。

 

なんでだろう?

勇気の不足?

状況判断?

 

とにかく何だが動く気配もないし、唸り声は警察に電話しているあいだには全然聴こえなかったし、また聴こえてきたり止まったりする。

 

このまま一網打尽にしようとするイメージのほうが強かった。

 

中は見えないし、なんだか周りは普通だし、オレだけがなんともかんとも戦場にいた感じでチグハグな雰囲気で。テンションが冷え切っている。

 

それはほんとに恐ろしいほど冷酷なほど情けないほど冷血に冷静だった。

 

でも実際これがコンゴの戦争のような状況だったらどうなんだろうか。

見つかりしだい蜂の巣にされて終わってしまうだろう。

 

「相手が銃を持って他人数できっと警察すら敵いっこないっていう軍隊」だったらそれで済んで、

「何人いるかわからなくて何を持ってるかもわからないチンピラ」だったら行くべきなのだろうか。

 

それが怖かったのか?

どうなんだろうか。

 

とりあえずナンバープレートだけ抑えてみようと近寄った。

オレは夜のサイクリングには実に4つものライトを使用している。赤い点滅した反射板が1つ。夏にチンピラにからまれたので護身用に催涙スプレーとプリペイドケータイを入れているランニングポーチにLEDライトを1つ。自転車の前方用に1つ。そして遊撃用に手持ち1つ。

 

まあつまりこの手持ちライトで照らしながらナンバープレートでも抑えておこうかという話である。

 

もし警察が来る前に逃走したらアレなので一応(ここまで2分経っていない)。

 

もし逃げてもナンバーだけ抑えておけばかなりの証拠にはなるだろうし。

キチガイが遊撃に来ても「距離取って注意を引く」くらいの行為ならこのテンションでも了承できたらしかったが、

しかし被害者を載せたまま逃走されたらどうなるのかってことはちょっとあやふやだった。冷静なようでどこか破綻している作戦だ。

 

しかしどうもよく見えない。近づいたはみたけど見えない。今までで最も黒いワンボックスカーに接近したが、この時は声は何も聴こえなかったけれど、なんにせよ見えない。ほんとは見ようともしなかったのかもしれない。やはりなんにせよ見えない。

 

でもこれ以上近づいたらエンカウントするからそれ以上は寄らない。

 

でもここまで来ても何ら反応がないという感じ。できるだけ目立たないように自転車のライトは全部消したけど、1つはついてるから意味があるのかはわからなかったが。

 

「何してるんですか?どうしたんですか?」

って訊くべきだったか?

 

声がけ的な感覚で。実際、なんであろうと大声自体は出ていたわけだし、「それを不審に思った」か、あるいは「何かあったと見て通行人がたまたま声をかけてきた」というシチュエーションはおかしくはないから。

 

「中身が見えなくて具体的には何をやっているのかわからない以上、この時点でいきなり凄んで突撃するのはちょっとおかしいし無理だな。こっちのテンション的にも。」

 

ってことをオレはこの時点で思ったのだけど。普通に考えればオレのほうが不審者かもしれないとかそんな日常的な感覚で考えた。今は叫び声はしていない。

 

それで反応がヤバかったらアレかと。

 

持ってるのは催涙スプレー。これは半分は熊撃退用に買った。山を登る予定があったからだけど、普段は護身用に携行している。

でもあらためて思ったが、これは強姦犯には効かないかもしれん。だってなんかマスクとか被ってそうだから。

いや、そのこの世のものとは思えない糞ダッサイ格好した変態の象徴部にぶちかましてやれれば必殺なのだろうけど。

いやでも人数があれだから。

スタンガンにしても今は冬だが、そうなると厚手の服がこれを阻むだろう。

いや、そのこの世のものとは思えない糞ダッサイ格好した変態の象徴部にぶちかましてやれれば必殺なのだろうけど。

でも意外と戦力になりそうもないように思った。

そういったことは置いておくにせよ、

そもそも逃走されたら結局は先の心配が出てくるわけなので、

どうしようもないのではないか?

となる。

 

そして警察が来た。

警察はすぐに来た。最初は一台の普通の車がやってきたので「仲間が来たのか?」と更にびっくりしそうだったが、どうやらそれが覆面パトカーだったみたいである。その後に続いて普通の赤ランプを照らしたが音は出していないいつものおなじみ警察車両がオレの横を通り過ぎて黒いワンボックスカーの方へ向かっていった。

 

オレの戦いは終わった。

 

スーパーの自動販売機の近くで様子を眺めていたが、ライトをかざした人がこっちの方へ歩いてきて「通報者の方ですか?」っておそるおそる訪ねてきたからオレもおそるおそる「はい」と答えた。

 

この話の結末としては結局のところ、

こうだった。

 

「奥さんのパニック障害で大声を出されていたようです。その看病をしていたとか。お子さんも同乗していまして。」

 

パニック障害ってあんなに叫ぶものだっけ?

 

ってオレは思ったけどその名前の響きからするとするすると結びついてしまう。

でもまあ子供同乗ならやっぱりそうなのかね。

とにかくここからはもう警察の問題だからオレにはカンケーがないわけである。

というかカンケーしようもない。

もしかしたら複雑な家庭の事情でDV関係の線だってあるだろうけど、

やはりそれはこの時点では少なくともオレにはカンケーのしようがない。

 

でもこれで子供が乗ってなかったら意外と「うまい言い訳」なんじゃないかなって少し思った。

 

だってそう言われたらオレだったらもうそれ以上追求できないし、する気もなくなってしまうだろう。状況にはよるし、「助けて」と明確に言語化されればまた別だろうけど、この状況では判断のしようもない。

 

こんな人気のある場所で堂々と犯罪を犯すようなら、そういったことまで織り込み済みという手口ね。警察だから子供の同乗の有無まで入っていけたけど、自分ならどうなのか。

 

まあ無理だろうなって。

 

更に言えば、こんな人気があって人目がある場所でやるなら声を出させている時点で失敗だし、実際はもっと殴りつけたり脅したりして被害者を相当のところまで黙らせるというが、今回はこれだけ漏れているのにその場を動こうともしない車の異様さ。(キチガイがやってるからというのはあるけど)

 

なんかこうやって考えるとすっげえ複雑なシチュエーションに思えてきたし、

 

実際には「こういった複雑さでその時その時の人間の判断や意思決定をニブリに鈍らせる事態が発生する」ということ。

 

でもだから仕方ないよねって言ってんじゃなくて、だからこそシンプルに考えたほうがいいってことだと思う。

 

「何が重要で、何が重要でないのか」

 

オレにとって重要だったのは「犯人を捕まえるか、出来るだけ証拠を捉えて、法の裁きを受けさせて、被害者が戦える条件をそろえる」ってことだった。

 

オレにとって重要でなかったのは「いま現在未遂事件で済んでいるなら別だが、そうでないなら同じこと」ってことだった。

 

あくまでオレにとっては。

 

『目の前で強姦が行われていようと最終的に勝利するために価値があると思うことだけを優先させた。』

 

すごく冷たく冷静だった。

 

オレはまた同じ状況でもきっと同じ作戦をとると思う。

 

「逃したくはない」ってのが一番強い影響を持っていたように思う。

「ビビって怖かった」ってのもあると思う。

 

ただそれは犯人が怖かったというとどうも何か引っかかる。今年の夏も飲食店で酔っ払いの墨を入れた180センチオーバーの男に絡まれて怒鳴り散らされながら脅迫されたが、「腕を思い切り掴んで動きを止めて揺さぶる」というくらいはできるのだ。それ以上は過剰防衛になるし、ヤクザの場合は少々面倒だなという「考え」が働いたからそれ以上は手が出なかったけれど。

 

なんかもっとこう

「ショッキングで凄惨な光景に直面して恐れをなす」

みたいなビビりだったように思う。

 

悲惨な光景を見てフリーズするって分かるだろうか。ショッキングな。怖気づくっていうのはそういった空間的な雰囲気によって産まれてるんじゃないだろうかって思った。さらにこれは質が悪くて実際には中は見えない。想像力が大きく働くような感じがまた厄介だったのか。

 

でも警察だって絶対じゃないというわけで。

しかし警官らは、男性の友人が血だらけであり組長や組員らにも血が付着しているという状態にもかかわらず、組員らの車のナンバーを控えるのみで組長や組員らの身体検査や車を検めず、組長らが後日出頭すると言う言葉を信じ事件は解決したとその場を立ち去ってしまった。なお警察への通報は他に2件あったものの、警官が仮眠していたという理由から通報から到着が16分、最寄りからは20分掛かったと説明している。

「神戸大学院生リンチ殺人事件」Wiki

こんな場合なら更にどうしただろうか。

 

なににせよこれはこれ以上ないというシミュレーションになったし、

 

「こういう状況でこういったことが起き、自分はこういった状態になり、こういったことはできるし、あるいはできない。」

 

という経験にはなった。

 

結果的には被害者は存在せずの万々歳なドッキリ企画のようなことになったわけだった。

 

こういったシミュレーションを、

ロサンゼルスバージョン、

コロンビアバージョン、

コンゴバージョンなどに昇華していけば行くほど、

今回取った作戦自体は正解に思える。

 

だから今現在では、また同じことが起こっても同じようにするだろうし、それ以外に考えられないと思う。

 

ただ今度はナイトモードを搭載したアクションカメラの導入なども考えなければならないし、冬でも使える護身用具として、軽犯罪法に問われることも厭わず特殊警棒を揃えることもあるかもしれない。あいにく護身術を習う金も無ければ生活習慣もないので。

 

でも今回オレが一番思い知ったのはこのことだった。

 

オレの中の正義は死んでいる。

戦争の勉強をしているとこの手の話は嫌というほど出て来る。トラウマになるほど出てくる。慣れなきゃやってられなくなったのかもしれないし、麻痺させなきゃならないようにできてるのかもしれないし、まあとにかくなんかもう変に「そういう世界だ」ってなってしまっているみたいだということ。

 

もっとこう体中に血が巡って怒り心頭に達してテンションがフルボルテージを迎えることに頼っていた。

 

吃音があるから昔は電話をするときにそれを頼ったし、子供の頃からの呪縛として親父を突き飛ばしたときもそれだった。そうなる人種だと思っていた。多分20~21のテンションが仕上がっていた時ならそうなったかもしれない。自分を死ぬほど追い込んで気持ちがイッちゃっていたあの時期ならもっとけしかけられただろうとも思う。

 

でもそうならなかった。

 

そうなる人間ではなくなっていた。そうであったときなんてなかったのかもしれないけれど、とにかく自分はそういう人間じゃなかった。

 

もともと感情的に動くタイプではなかったし、ない。

何事も「考え」があってこそ動く。

 

感情より理屈で動くし、理屈がなければ動かないどころか、理屈がなければ生きられないレベル。生きる理由があれば生きるし、無ければ生きたくないというレベル。

だから「考え」のないことはしたくないし、しない。

だからひきこもりニートなんだろうけど、とにかく「考え」が最優先で「納得」が最優先。だからあまり行動力はない。考えてから動くから。そして考えというものは最悪を捉えるのも早く、行動の足を鈍らせるから。

これはデメリットでももちろんあるけど、

メリットだと捉えてる。

なんでも2元論であって、

絶対悪いということはないというのが今のオレの人生哲学。

 

じゃあ、

すべて考えて、納得できることだけしたらいい。

というだけのことだからだ。

 

だが今回のことではデメリットに出ただろうか。

 

はっきり言えば、

 

オレは自分にもっと熱くなってほしかったんだ。

 

世に美徳とされているように「考えるより体が動く」とか「スイッチが入る」とかなんだとかいうアレであるべきだろうとはなんとなくにせよ思っているからだ。

 

目の前で強姦されている人がいる状況

 

これってもっと怒るべき状況じゃないのか。

 

チンピラ如きがいるだけの状況

 

これってもっと怒鳴るべき状況じゃないのか。

 

他に比べればいくらでも手のうちようがある手段豊かで救いようのある状況

 

これってもっと余裕をもって行動できる状況じゃないのか。

 

でも何にもそこまで思わなかった。

 

最初は「うわめんどくせ。」だったもんな。

 

大体そうで、

段々とどうにかしようかとは思ったが、

でも結局それって

 

手柄を立てたいってだけ。

 

被害女性の心情とかこの瞬間は考えなかったんだろう。そんなことは蚊帳の外で、「自分が考えたことを実践して手柄を立ててみたい」ってキモチが本当のところだったと思うね。でもまあそう思ったから冷静に動けたのかもしれないけどさ。

 

もうこんなことを見てもなんとも思わなくなっちゃった。

 

物分り良くなりすぎたのか。慣れなきゃやってられんからか。鈍感になることで守ってるのか。オレに興味のないこの世界だからオレも興味ないということなのか。

 

もうこんなことを見てもなんとも思わなくなっちゃった。

 

多勢に無勢と言うなら、

一人で多数に攻撃されている女性がいるというのに、

怒れなくなっちゃった。

 

これは我ながらヒドイと思うね。

 

同じ状況でも、

結局は同じ作戦を取るだろう。

それは変わらないと思う。

 

問題なのはそこじゃなくて、

「この状況に怒れなくなっちゃった」

っていうことにショックなんだと思った。

 

ヒドイとは思うけど、

「まあ、そうなんだから仕方ないんじゃない。」

というのも思う。

だってそうなんだし。

そして

「それじゃダメだ」

なんていう疲れる心の葛藤はもうめんどくさいのでやらない。

 

めんどくさいのでやらない。

疲れるから。

 

そもそも疲れた結果にこうなってる。元々かもしれんけど。

 

「そうだというのなら、そういうものとして生きる」

 

ってのも哲学だから。

 

オレは熱血漢でもないし、正義のヒーローでもないし、目の前の被害に遭う女性を助けようって男でもないって事を認識する。

 

オレの中の正義はもう死んでいる。

 

ってことをはっきりと認識できたってことが、今回のリアルシミュレーションで明らかになったのが一番の収穫。

 

オレがこれからできるのは、

「そういうことなら、それに頼らずに、できる対策を考える。」

ってことで。

 

現状こうなるってことやシチュエーションが分かったのだからどんな作戦が有効か。

必要な道具は何か。

行動力が鈍るならどうするか。

メリットに訴えかけるか、プライドに訴えかけるか、哀れみに訴えかけるか、何かとにかく正義以外の感情に働きかけるような鼓舞の仕方を用意しておかなくてはならないだろう。

 

そんでやっぱり基本は

「最悪に対処する。」

ってことでいいんだと思うね。

 

最悪を想定して「通報する」、「声をかけてみる」、というくらいはどんな状況でも許されるんじゃないだろうか。警察だってまあそれが仕事なんだし、人としてコミュニケーションの一つの手段としておかしなことがあれば声がけくらいはするってのは別に変じゃないんだしさ。

 

オレは正義のヒーローではないけど、すこしでも手を貸せる手段があるなら、それを出来るだけ用意して、イメージして、準備して、戦えるようにしていきたいとは思ってるから。

 

だってそんなことでいちいち活動の邪魔されたくないし煩わされたくないし。

この世界はクソなんだからだいたい。

降りかかる火の粉は払えるくらいの準備はあっていいだろうし。

 

正義はないけど戦意はあるみたいだし。

 

まあもちろん手柄としてだけど。

ニートブログの下

 

 

フライングなニートマンの著作書籍

 

★ニートの自伝

 

13歳の少年労働兵

「不登校×少年労働」編

愚か者の人生戦記第1弾は「生まれてから13歳で少年労働兵と成ってご活躍される」までのお話。既に中年サラリーマンの如き「労働と報酬の日々」を過ごしたひとの末路へつづく。

 

やることない体験記

「ニート×無目標」編

愚か者の人生戦記第2弾は「ニート化成った18歳から21歳までのやることがなかった」ころのお話。「仕事がなくなると人は一体何をするのだろうか?」という実験データに近いモノあり。

その後もニートだし今も半ニートなんだけどね

 

★「もしも働いていたなら?」ロールプレイングストーリー

 

シャケ弁労働者した元ニートの話

「もしも、ふつうに働いていたら?」

なシミュレーション。「シャケ弁食って働いて妹たちとゲームでもしているっていうのも良いのかもなあ」の未来を想った。

 

フェアレディZで通勤したキノコ工場で正社員してやることなくなった話

「もしも、そこからさらに正社員で働いていたら?」

なシミュレーション。「結局なにすれば満足なのコイツは」的な叙事詩が紡がれた。ある意味人間失格。

 

31歳までフリーターして落ち武者した話

「もしも、ならばフリーターしながら好きなことを目指していたならば?」

なシミュレーション。今に一番近いスタイルではあったけれども。

 

不登校から復帰して労働徴兵されるまで大学に隠れた話

「もしも、ふつうに学校へ行っていたならば?」

なシミュレーション。もうそこまで遡って人生を最スタートさせてみても結局のところ結末は同じだったというオチ。学校へ行く意味を分解してみたやつ。意外と一番のお気に入りコンテンツに。「労働戦士恐るべし。労働徴兵許すまじ。」

 

 

プロフカードぼたん

-ニートアカデミア(哲学), 無職長征一万光年旅記
-,