宝塚記念、
ドゥラメンテ敗北。
それは競馬であるからどんな馬も通る道。
ドゥラメンテは去年、
怪物だった。
怪物の力は戻らなかった。
「重かった」、「落鉄が」、いろいろと散々と理由をつけられた今まで。さんざん擁護してきた今までで。しかしもうはっきりと認識しなければならない。
怪物の力は戻らなかったと。
ドゥラメンテが現在日本最高クラスのサラブレッドであることには変わりはないし、現在でも100%の連対率(2着以内)を誇る駿馬であり、強い2冠馬であることには何ら変わりがないのだ。
だが去年の春にそこにいた怪物はいなくなったのである。
ディープインパクト、オルフェーブル、ナリタブライアン、シンボリルドルフなどと並び称されるような“怪物”像はもういなくなってしまったのだ。
あえて理由をつけよう。
「調子が悪かった」と。
宝塚記念のドゥラメンテはひどい汗。
もうすんごい量の発汗で馬体が白くなっちゃっとる。口なんか「どういう状態やの?」ってくらいになんかもうすんごい。
体重減??
馬体重は最近だと510キロくらいが予想とされていたが(堀調教師がそう答えている)498キロであった。個人的には元々体重がダービー時より20キロ以上も上がっているという前代未聞のデブリっぷりに驚いていたから「お、500きってるじゃん!!絞れてきてるのか!!」と喜んでいたけど、あの状態の悪さをみるに体調悪くて落ちたっぽい印象になってしまう。ダービー時よりほんとに馬格が大きくなって適正体重が増量していたならばという過程ではあるけれど。
しかしレース自体はそこまで悪い運びではなかったように見えた。
もっと中団に位置して、爆裂的ダッシュで一気に抜けだして駆け上がるダービーのような競馬をすると思っていた。鞍上のミルコも前から行きたいとは言っていたし(作戦なんだしそうするとは限らないけどさ)、このコースはやはり直線が短いから前々というのは普通のこと。
しかし実際は、かなりの後ろからとなった。
行きたいのに行けないということがあって後ろになってしまったという場合、「馬の反応が鈍い」ということなので調子が悪いと考えられる事はできるが、
道中は理想的に加速できていた。
「調子が悪くて反応しない」というなら道中も加速できずにそのまま後ろの順位のまま直線だけで走らなければならないようなパターンが、有名な「脚のこし」的な敗け方をする。(脚は疲れていないのに全力を出せず負ける)
しかし今回ドゥラメンテは道中は理想的な加速をして順位を上がっていった。
そして前はハイペース。
「前が速すぎれば後ろの馬に有利」というのが基本。前を行く馬が多い場合、先手争いが長引いて足の筋肉を使ってしまい、最後の直線ではもう脚が疲れきっている状態になっていくのがハイペース。
つまり後ろから行く馬に絶好のチャンスが訪れるわけである。
このことからドゥラメンテにとっては有利な展開となったわけであった。
スタートからの後退は、あくまで騎手が下げたのかもしれない。スタートと同時にキタサンブラックを筆頭に前から行く馬が殺到していたので、瞬時に騎手が判断して下げたのかもしれない。全て憶測だが、
いずれにしろレースの流れ自体はドゥラメンテに向いていたということである。
だがしかし彼は敗けたのであった。
十分直線だけで勝ちきれる距離があった。
ただしスピードがなかった。
たしかに直線に出る際にだいぶ馬群にもまれ手前が開かなかった。だが名手ミルコ・デムーロはなんとか手綱を捌ききって、大外を回らずに前を開けてみせた。
そして敗けた。
道中の動き、レース展開、これらは全てドゥラメンテにとって良かったものの、
やはり後ろから行った人気馬のサダメとして馬群に塞がれて直線でもたついたのだった。
それが敗因といえるだろう。
それが敗因なのだ。
その一瞬のロスが敗因となって勝者と敗者を分けてきたのだった。
「それが競馬」という具合に。
しかし勝てたのである。
十分直線だけで勝ちきれる距離はあったのだ。
鞍上ミルコ・デムーロが捌ききって拓いた距離は十分なものだった。
怪物になら。
去年の皐月賞をみるが良い。
怪物はあそこにいたではないか。
あれはドゥラメンテではなかったか。
80年以上続く日本競馬の栄典『日本ダービー』をどの名馬よりも速く駆け抜けた怪物がいたではないか。
あれはドゥラメンテではなかったか。
安楽死じゃなくてヨカッタ。
まあヒヤヒヤもんの宝塚記念でしたけれどもね。
だってミルコ下馬しちゃって、
すんごい力抜けた感じになっちゃって、
んでドゥラメンテ足上げちゃって、
んで馬運車詰められちゃって、
見たくなかったわ。
すぐサイレンススズカとライスシャワー検索したから。
「違うよ違うよ」
つって検索したから。
状態は「跛行(ハ行)」※歩様に異常をきたしている
サンデーレーシングの吉田俊介代表は「ゴール後にバランスを崩したようです。左脚を痛めたようですね。(X線に)映っていない可能性もありますし、じん帯や腱はあとから分かることもあるので」と説明。登録済みの凱旋門賞・仏G1(10月2日・シャンティイ)については「やめます。今後は白紙です」と話した。
第3回阪神第8日(6月26日(日))
宝塚記念(GI)
11R 9番 ドゥラメンテ号(M.デムーロ騎手)
競走中に左前肢跛行を発症
またの故障。怪我。歩き方が変になって。
ということだが原因が何かはまだ報じられていない。
また骨折かもしれんね。死ぬよりはいいと思ってしまったけど。ともあれ怪我の正体は今の時点では骨折ではなく跛行。
↓追記
左前脚のじん帯と腱に内出血と炎症
堀調教師「入線後、馬を減速していくなかで、バランスを崩し、自身の後肢が左前肢に乗りかかってしまい、打撲してしまったようです。」
ドゥラメンテ、左前脚のじん帯と腱に内出血と炎症!堀調教師「後肢が左前脚に乗っかかった」スポーツ報知 6月27日(月)20時46分配信
安楽死でもしょうがないかって思った。
どうせいつかは死ぬんだしね。人も競走馬もそれは同じ。競走馬なんてさらにその後の人生は単調だ。人から見ればだけど。
だってミルコのあの落胆ぶりというか、あのモノ寂しげな歩き方はちょっとおかしかった。様子が。異様な映像だった。スズカやライスの時みたいな雰囲気さえ出てたんじゃないのかって。
だからかなり不安になった。
「安楽死でもしょうがないかまあそこまで俺の人生に関係ないしな~馬主じゃねえしな~」
って落ち着かせようと思っていたけどどうにも不安は募るばかりである。
「いやここで死んでも伝説になれるからいいんじゃないの」
「このまま怪物のメッキが剥がされていくくらいなら」
なんて思ってみたりもしたけどどんどん嫌な気持ちにはなっていく。
公式情報を2時間くらい待ってた。睡眠時間の調整が合わずに宝塚記念は20時間以上起き続けてみていたので終わったらさっさと寝たかったが寝れなかったもんね。
さすがに起きてニュース見て飛び込んできたのが
「ドゥラメンテ予後不良」
だったら最悪である。
このパターンで皐月の時は喜んでその勢い余ってあんな大型の記事までこさえて、それからチャリで東京までダービー観に行くってことまでしたというのに、
今度はその真逆かってくらいに。
しかし大事じゃなくてよかった。
と素直に思ってしまったのであった。
でもこれは「大事にならずに済んでよかった」という、「世の中から悲しいことが少なくなればいいね~」というような気持ちではなく、
純粋に「また走ってるところが見れる」ということがヨカッタ。
アドマイヤグルーヴもそうだったが、
その走り姿がどうしてもまた見たくなるのだ。
ただの2冠馬ですけどそれが何か。
これから走るとしてももう別に怪物ではないだろう。
ただの春2冠馬である。
サニーブライアンとかミホノブルボンとかネオユニヴァースとかの2冠馬である。
ブルボンは怪物だったろうけどさ。
勿論ディープインパクトでもシンボリルドルフでもない。
出るレース出るレースすべて勝って当たり前のような馬でもない。
たしかに宝塚記念の敗けは調子が悪かったかもしれない。馬群に阻まれてロスしたかもしれない。
それで敗ける馬なのである。
とりあえず前が開けば勝てるディープインパクトのような怪物ではないのだ。
去年ならいざしらず、
骨折明けで謎の体重増をかさねた脚部不安の塊という2冠馬なのである。
もちろんディープインパクトもシンボリルドルフも敗けることはある。
1回や2回。
3歳時怪物の如き強さだったナリタブライアンだって3冠前にトライアル戦で敗けた。
その1回が今回の宝塚記念だったのかもしれない。
だがもういいだろ。
怪物じゃありませんよもうこの仔は。
「ただの春2冠馬ですけど何か」ってな具合のお坊ちゃんですよ。
こんだけ脚が弱いんだよ。
無理して走ったらどうなるか。
いくら才能があったって、
地面に付いてるのは脚4本。
全力じゃあもう走れないだろう。
怪物はいなくなりました。
走るとすれば秋の国内王道戦線を盛り上げてくれるだろう。
夢もロマンもないなんて言ったけど、
「実」は相当ある。3歳の夏を過ぎればもう子供扱いはされない、
大人の世界。
ここで通用してこそホンモノに成れる道。
「次は馬群に呑まれないように、やはりダービー時のように中団追走から、一気にトップギアに変えて抜けだし、そのまま距離を稼いで直線に負担のかからないような競馬でいく」
とか、
そういった「作戦」が大事なわけですよ。
怪物じゃないからね。
そういった接戦熱戦大乱戦というのこそ競馬の醍醐味である。
今年ブイブイいってる3歳世代との激突!!
秋には今年チョーシにノッてる3歳世代の奴らがいくらかやってくるだろうし。さすがにあれだけいても皆が皆「凱旋門賞」や「菊花賞」にはいかないだろうから秋天やジャパンカップや有馬で激突するわけですよ。
キタサンブラックとのマッチレース?
さらにG1二勝もしといて一向に海外遠征という浮いた話が出てこない“漢”キタサンブラックのゴール前でのど根性をさらに撃破していかねばならないし、
友、リアルスティールとの共走
秋天では宿命のライバルであるリアルスティールの挑戦も受けてやらなければいけないかもしれないし、
現役日本最強戦
女傑とかほざかれそうなマリアライト姐さんにも借りを返さないといけないわけだよね。
さらには未知数の怖さを持つエイシンヒカリとの日本最強対決もある。
これらのベストバウトが繰り広げられる可能性があるというわけですよ。
めっちゃ脆いアンヨを抱えて。
もう怪物ではないが競馬を面白くしてくれることに違いはないし、連対率100%やし馬券師にも頼りがいがあるだろうしさ。
引退するかもしれないけど。
近々発表されるかもしれないけどね。
去年も同じようなことあったしね。
流石に走るたびに足元に何かあると考えてしまうわけですよ。
このまま引退ならダイジョブなんだろうか?
→種牡馬価値を気にしているときの記事。「サドラーズ女子をゲットせよ」とか主張を繰り返してやまない時期の記事。
それにしても引退して繁殖に上がってしまったらもう関係がなくなってしまう。
観戦することもできない。
ファンで居ることすらできない。
ブログで追い掛け回せない。
もう何の関わりもなくなってしまうのだ。
走ってくれる時だけ、ファンとして関われる。
“そっち”にいかれたらもう私の競馬はそこで終わるのだ。
なんていう疑問を抱えながらのらりゆらりとこの先のドゥラメンテの走りを楽しんでいきたいね。
勝つこと前提じゃなくてさ。